WordPress 開発を AI で効率化!デジタルキューブが提供する WordPress Handbook MCP サーバーの使い方
WordPress 開発を日々行っている中で、「公式ドキュメントを探すのに時間がかかる」「複数のハンドブックを行き来するのが面倒」と感じることはありませんか?開発者の貴重な時間が、情報検索に費やされているのは非効率的です。
本記事では、WordPress 専業15年以上の実績を持つデジタルキューブが新たに開発・リリースした「WordPress Handbook MCP サーバー」を活用した WordPress 開発の効率化手法を詳しく解説します。このツールにより生成 AI サービスから WordPress 公式ドキュメントに直接アクセスできるようになり、知りたい情報を解説するハンドブックをより簡単に見つけることができます。
WordPress 開発者が抱える3つの時間的課題
WordPress 開発において、技術的なスキルと同じくらい重要なのが、情報へのアクセス効率です。しかし、多くの開発者が以下の課題に直面しています。
ドキュメント検索に費やす時間の増大
WordPress の公式ドキュメントは非常に充実していますが、膨大な情報の中から必要な情報を見つけ出すのには相当な時間を要します。プラグイン開発での API リファレンス、テーマ開発でのテンプレート階層、REST API の仕様確認など、それぞれ異なるハンドブックを参照する必要があります。
特に複雑な機能を実装する際は、複数のドキュメントを参照しながら開発を進める必要があり、情報検索だけで開発時間の大部分を占めてしまうことも珍しくありません。
複数ハンドブックの横断検索の非効率性
WordPress には Plugin Handbook、Theme Handbook、REST API Handbook、Block Editor Handbook など、目的別に分かれた複数の公式ハンドブックが存在します。関連する情報が複数のハンドブックに散らばっているため、包括的な情報収集には時間がかかります。
例えば、ブロックエディタ対応のプラグインを開発する場合、Block Editor Handbook と Plugin Handbook の両方を参照する必要があり、情報の整合性確認や最新仕様の把握に多大な工数が必要になります。
情報の正確性確認に要する工数
WordPress は頻繁にアップデートされるため、参照している情報が最新バージョンに対応しているかを確認する作業も必要です。古いバージョンの情報に基づいて開発を進めてしまうと、後々の修正作業が発生し、さらに時間を消費する結果となります。
また、インターネット上には WordPress に関する情報が大量にありますが、公式ドキュメントとの整合性や情報の信頼性を確認する作業も、開発者にとって大きな負担となっています。
生成 AI で WordPress 開発はどう変わる?
AI 技術の発展により、開発者の情報アクセス方法は大きく変化しつつあります。従来の検索ベースから、対話型の情報取得へとシフトすることで、開発効率の向上が期待できます。
従来の WordPress 開発では、実装したい機能の仕様を決定してから、WordPress.org のドキュメントサイトにアクセスし、該当するハンドブックを特定、検索機能を使って関連情報を探索し、複数のページを行き来して情報を収集、最後に収集した情報を元にコードを実装するという流れが一般的でした。このプロセスでは、情報収集に多くの時間が費やされ、実際のコーディング作業に集中できないケースが発生しがちです。
生成 AI による検索の効率化
AI アシスタントを活用して、これらの情報検索を今まで以上に効率化できます。自然言語での質問が可能になったことで、「WordPress でカスタム投稿タイプを REST API で操作する方法は?」といった自然な質問で必要な情報を取得できるようになります。
また文脈を考慮した回答により、現在の開発内容を考慮した、具体的で実装に直結する情報の提供が可能になりました。複数ソースの統合により、関連する複数のドキュメントから情報を統合した包括的な回答が得られ、理論的な説明とともに、実際に使用できるコードサンプルの提示も実現できています。
また、2024年11月に Anthropic が発表した Model Context Protocol(MCP)が登場したことで、情報収集の幅も広がりつつあります。MCP は、AI モデルと外部データソースを標準的な方法で接続する新しい規格です。MCP により、AI アシスタントが利用する言語モデルが学習していない情報についても、最新かつ正確な情報を即座に提供できるようになりました。
WordPress 開発を生成 AI で効率化する方法
具体的にどのようにして生成 AI を WordPress での開発に利用すれば良いでしょうか。ここからはデジタルキューブがリリースした WordPress Handbook MCP サーバーを利用する方法を紹介します。
WordPress Handbook MCP サーバーとは
デジタルキューブは、2025 年 6 月より WordPress Handbook MCP サーバーを提供しています。これにより WordPress Handbook が提供する WP API を利用して記事やコードを検索し、生成 AI による回答やサンプルコード生成の精度を高めることができます。
WordPress Handbook MCP サーバーにはいくつかの特徴があります。誰でも無料で利用可能であり、WordPress の7つの公式ハンドブックに対応しています。Cloudflare Cache API を活用した高速レスポンスと WordPress.org サーバーへの負荷削減を実現しています。
WordPress Handbook MCP サーバーを利用した情報収集
WordPress Handbook MCP サーバーを MCP 対応の AI アシスタントに設定することで、WordPress の7つの公式ハンドブックに直接アクセスできるようになります。
アクセス可能なハンドブックは 次の通りです。
- Plugin Handbook:プラグイン開発の包括的ガイド
- Theme Handbook:テーマ開発のベストプラクティス
- REST API Handbook:WordPress REST API の詳細仕様
- Block Editor Handbook:ブロックエディタ開発ドキュメント
- Common APIs Handbook:WordPress の共通 API リファレンス
- Coding Standards Handbook:WordPress コーディング規約
設定方法は使用する AI アシスタントによって異なりますが、一例として Claude Desktop の場合は、設定ファイル(claude_desktop_config.json)に以下の記述を追加するだけで完了します。
{
"mcpServers": {
"wordpress-handbook": {
"command": "npx",
"args": [
"mcp-remote",
"https://mcp.digitalcu.be/sse"
]
}
}
}
Cursor であれば、以下のボタンをクリックすることで、MCP の設定を簡単にインポートすることができます。
MCP サーバー設定後は、開発中に疑問が生じた際に、対応する AI アシスタントで直接質問できます。AI が自動的に適切なハンドブックから情報を検索し、文脈に応じた回答を提供します。生成 AI とこの MCP サーバーを導入した後では、対応する AI ツールで自然言語で質問するだけで、即座に正確な情報と実装例を取得できます。
開発現場での WordPress Handbook MCP 利用方法
プラグイン開発時には、セキュリティ対策の実装方法、WordPress のフックシステムの活用、データベース操作の最適な手法について詳細な情報を入手できます。テーマ開発時には、テンプレート階層の理解、カスタマイザー API の実装、レスポンシブ対応のベストプラクティスが役立ちます。REST API 開発時には、カスタムエンドポイントの作成、認証機能の実装、エラーハンドリングの適切な方法について学ぶことができます。
プラグイン開発時のセキュリティ情報検索
「WordPress プラグインのセキュリティについて調べて」と質問すると、Claude は search_wporg_plugin_handbook
ツールを使用して Plugin Handbook からセキュリティ関連情報を検索します。

取得できる情報には、SQL インジェクション対策の実装方法、XSS 攻撃の防止手法、nonce による CSRF 対策、データサニタイズとエスケープの適切な使用、権限チェック(capability)の実装が含まれます。

これらの情報は、WordPress の公式推奨事項に基づいているため、信頼性が高く、実装においても安心して活用できるでしょう。
チーム開発でのコーディング規約確認
チーム開発において、コードの品質統一は重要な課題です。「WordPress の PHP コーディング規約について教えて」という質問に対し、AI は MCP サーバーを通じて Coding Standards Handbook から最新の規約情報を取得して説明してくれます。

提供される情報には、インデントルールとスペーシング、変数と関数の命名規則、コメントの記述方法、エラーハンドリングの標準的な実装、パフォーマンスを考慮したコーディング手法などがあります。
また、「このプラグインのコードレビューをしたい。WordPressのコーディング規約をMCPでチェックしてレビューしてください。」のように Cursor / Claude Code などのエディタへ指示してみましょう。するとWordPressのコーディング規約に関するハンドブックをチェックし、その内容をもとにコードレビューが実施されます。

チームメンバー全員が一貫した品質のコードを書くためのガイドラインを素早く共有できるようになります。
まとめ
WordPress 開発における情報アクセスの課題は、AI 技術の活用により大幅に改善できます。Model Context Protocol を活用した WordPress Handbook MCP サーバーにより、開発者は必要な情報を素早く取得し、実装作業に集中できる環境を構築できます。
重要なポイントを整理すると、MCP 対応 AI ツールへの MCP サーバー設定で WordPress 公式ドキュメントに直接アクセス可能になります。自然言語での質問により、必要な技術情報を即座に取得でき、プラグイン開発、テーマ開発、REST API 実装など、幅広い開発作業で効果を発揮します。10分程度の簡単な設定で導入可能な点も魅力的です。
従来のようにブラウザで複数のドキュメントページを行き来する必要がなくなり、開発者は本来の創造的な作業により多くの時間を割くことができるようになるでしょう。WordPress 開発の新しい可能性を、AI 技術の力で実現してみてください。
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参考情報
- WordPress開発を もっと効率的に – MCP DigitalCube
- Introducing the Model Context Protocol – Anthropic
- Getting started with Model Context Protocol (MCP) on Claude for Desktop | Anthropic Help Center
- Model Context Protocol (MCP) – Anthropic
- GitHub – modelcontextprotocol/servers: Model Context Protocol Servers
- Introduction – Model Context Protocol
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