自社に最適なCMSの選び方|よくある失敗や確認しておくべきポイントを徹底解説

自社に最適な CMS の選び方|よくある失敗や確認しておくべきポイントを徹底解説

「自社サイトのリニューアルを検討しているが、どの CMS を選べば良いか分からない」「予算内で効率的に運用できる CMS を知りたい」といった悩みを抱えていませんか?

CMS 選定は、サイト運営の成功を左右する重要な決定です。しかし、適切でない選択をすると、想定外のコストが発生したり、運用に支障をきたしたりするリスクがあります。

本記事では、Web 制作の専門知識がない方でも理解できるよう、CMS 選定の判断基準を分かりやすく解説しています。さらに、実際の失敗事例と具体的な選定手順も紹介します。

失敗しない!自社に合った CMS を選ぶ際のポイント

CMS 選定において重要な6つのポイントを詳しく解説します。各要素をしっかりと検討することで、自社に最適なCMSを見つけられるでしょう。

1. サイト規模・目的に合っているか?

サイトの規模(ページ数、アクセス数)や運営目的(企業サイト、EC サイト、メディアサイトなど)によって最適な CMS は異なります。

小規模サイトに高機能 CMS を導入すると過剰投資になり、大規模サイトに簡易 CMS を使うと機能不足に陥る可能性が高いためです。例えば、10ページ程度の会社案内サイトにエンタープライズ版 CMS を導入するのは明らかにオーバースペックといえます。

そのため、まずは自社サイトの規模感と目的を明確にし、CMS の対応範囲と照らし合わせて判断することが重要になります。

2. 自社予算と合うか?

初期導入費用だけでなく、月額利用料、保守費用、カスタマイズ費用、人件費などの総コストを算出することが重要です。

実際に、無料 CMS でも運用コストがかかる場合があり、有料 CMS の方が結果的に安価になるケースも存在します。そのため、長期的な視点での予算計画が必要になります。例えば、WordPress は無料で利用できますが、サーバ代、テーマ代、プラグイン代、保守管理費用などを含めると、月額数千円から数万円の費用が発生します。

だからこそ、総所有コスト(TCO)の観点から、3年程度の中長期的な予算を見積もって判断することが大切です。

3. 運用や管理がしやすいか?

実際にサイトを更新する担当者のITスキルレベルに合わせて、操作の難易度を評価することが重要です。

具体的には、直感的なインターフェース、マニュアルの充実度、学習コストの低さなどを確認し、現場の担当者がストレスなく運用できる CMS を選択する必要があります。なぜなら、高機能な CMS ほど複雑な管理画面になる傾向があるためです。

したがって、実際の運用担当者の技術レベルを正確に把握して選定することが欠かせません。

4. セキュリティ対策は万全か?

CMS のセキュリティ脆弱性は常に狙われやすく、定期的なアップデート、アクセス制御、バックアップ機能などの基本的なセキュリティ機能が備わっているかを確認する必要があります。

特に個人情報を扱うサイトでは、より厳格なセキュリティ基準をクリアしているかの検証が不可欠です。また、オープンソース CMS の場合は、セキュリティアップデートの頻度や対応スピードも重要な判断材料となります。

5. 拡張性やカスタマイズ性は豊富か?

将来的な事業拡大やサイト機能の追加に対応できるよう、プラグインの豊富さ、API 連携の可能性、カスタム開発の自由度を評価します。特に EC 機能、多言語対応、外部システム連携などの拡張性は、事業成長に合わせてサイトを進化させるために重要な要素となります。

また、データの移行・エクスポート機能についても慎重に検討する必要があります。Wix やJimdo などの一部のクローズドプラットフォームでは、作成したコンテンツやデータベース情報を完全な形でエクスポートすることが困難で、他の CMS への移行時に大幅なデータ損失や再構築が必要になるケースがあります。

一方、WordPress のようなオープンソース CMS であれば、データベースの完全バックアップやコンテンツのエクスポート・インポート機能が充実しており、ベンダーロックインを避けることができます。事業の変化や技術の進歩に合わせて、より適切なプラットフォームへの移行を検討する際の自由度を保つことは、長期的な事業戦略において重要な要素です。

そのため、現在は不要でも将来的に必要になる可能性がある機能や、システム変更の柔軟性についても総合的に検討しておくことが大切です。

6. サポート体制は整っているか?

技術的トラブルや運用上の疑問が発生した際の解決手段を確認する必要があります。

公式サポートの対応時間、コミュニティの活発さ、ドキュメントの充実度、日本語対応の有無などを評価し、困った時に迅速に問題解決できる環境が整っているかを判断することが重要です。特に海外製 CMS の場合は、日本語でのサポート体制の有無が運用の成功を左右する要因となります。

CMS 選びでよくある失敗

実際の CMS 選定において発生しがちな失敗パターンを4つ紹介します。これらを事前に把握しておくことで、同様の失敗を避けられるでしょう。

1. 初期費用・運用コストの見積もりが甘い

導入時の初期費用のみに注目し、月額利用料、保守費用、追加機能の開発費、担当者の人件費などを軽視してしまう失敗パターンです。

特に無料 CMS でも、カスタマイズやサーバ費用で結果的に高額になるケースが多く、総所有コスト(TCO)での判断が必要になります。例えば、WordPress は無料で利用できますが、専用サーバ、セキュリティ対策、定期メンテナンスなどを含めると、年間数十万円の費用が発生する場合があります。

そのため、導入前に3年程度の運用コストを詳細に算出し、予算との整合性を確認することが重要になります。

2. 社内の関係者を巻き込まずに決定してしまう

IT 部門や担当者のみでCMSを選定し、実際の運用者やコンテンツ制作者の意見を聞かずに決定してしまう失敗例です。

なぜなら、現場の作業効率や使い勝手を無視した選定は、導入後の運用トラブルや生産性低下を招く原因となるからです。最悪の場合は CMS の乗り換えが必要になります。そのため、営業部門、マーケティング部門、広報部門など、実際にサイトを更新する担当者の声を選定プロセスに反映させることが不可欠です。

具体的には、選定段階でのヒアリングや試用期間を設けることで、現場の納得感を得られるCMS選びが可能になります。

3. 短期的視点で選定してしまう

現在の要件のみを重視し、将来的な事業拡大やサイト機能の拡張を考慮せずに選定してしまう失敗パターンです。

短期的にはコストが安く済んでも、数年後に CMS の限界に達し、大規模な移行作業が必要になるリスクがあり、結果的に高いコストと時間を要することになってしまいます。

だからこそ、事業計画や成長戦略と照らし合わせて、3〜5年後の要件も想定した CMS 選びが重要になります。

4. 比較検討の幅が狭すぎた

知名度の高い CMS や最初に見つけた CMS のみで判断し、十分な比較検討を行わないことによる失敗例です。

実際には、市場には多様な CMS が存在し、自社の要件により適した選択肢がある可能性が高いです。そのため、最低でも3〜5つの CMS を比較検討し、それぞれの特徴を理解した上で選定することが重要です。

一つの CMS に絞り込む前に、複数の選択肢を並行して検討し、客観的な比較表を作成することで、より良い選択が可能になります。

CMS の選定手順|失敗しないための5ステップ

体系的な CMS 選定を行うための具体的な手順を5つのステップで解説します。順序立てて進めることで、失敗のリスクを最小化できるでしょう。

STEP 1|サイトの目的と必要な機能を明確にする

まず、サイトの運営目的を明確にし、必要な機能をリストアップします。

ページ数、想定アクセス数、更新頻度なども具体的に設定し、CMS に求める要件を詳細に定義することで、適切な選定基準を確立する工程です。例えば、「企業の信頼性向上」「リード獲得」「採用強化」など、サイトの目的を明確にすることで、必要な機能が見えてきます。

また、「月間1万 PV」「月2回の更新」「問い合わせフォーム必須」などの具体的な数値目標も設定しましょう。

STEP 2|自社のリソースと運用体制を把握する

次に、担当者の IT スキルレベル、運用に割ける人的リソース、予算規模、技術サポートの必要性などを客観的に評価します。

社内の開発チームの有無、外部業者との連携体制、緊急時の対応能力なども含めて、現実的な運用体制を把握し、身の丈に合った CMS 選定の基盤を作る段階です。「HTML が分からない」「プログラミング未経験」「外部業者との連携が困難」など、制約条件を正直に洗い出すことが重要になります。

STEP 3|要件をリスト化し、複数の CMS を比較する

STEP1・2で整理した要件を優先度付きでリスト化し、候補となる CMS の機能、コスト、サポート体制を比較表にまとめます。

必須機能、推奨機能、将来的に欲しい機能に分類し、各 CMS がどの程度要件を満たすかを客観的に評価し、選択肢を絞り込む作業です。具体的には、Excel やスプレッドシートを活用して、以下の5軸で点数化することで、客観的な比較が可能になります。

特にホスティング環境については、自社でサーバを管理するか、マネージド環境を利用するかによって運用負荷やコストが大きく変わります。例えば、WordPress では自社サーバでの運用と WordPress VIP のようなエンタープライズクラウド版があり、Movable Type も自社サーバ版と Six Apart 提供のクラウド版が選択できます。

クラウド版やマネージドサービスを選ぶ場合は、サーバ管理の手間が省ける反面、月額コストやカスタマイズの制約が発生する可能性があります。一方、自社サーバでの運用は初期構築や保守に技術的なリソースが必要ですが、より柔軟な環境構築が可能です。

これらの要素を総合的に評価することで、自社の技術リソースや予算に最適な CMS 選択が可能になります。

STEP 4|トライアルで操作感を確認する

候補として残った CMS の無料トライアルやデモ環境を活用し、実際の操作感を体験します。

管理画面の使いやすさ、コンテンツ更新の手順、レスポンシブ対応などを実際に触って確認し、マニュアルだけでは分からない使い勝手を評価する重要なステップです。可能であれば、実際の運用担当者にもトライアルを体験してもらい、現場の声を収集することが大切です。

STEP 5|見積・サポート体制を確認し、最終決定

最終候補の CMS について、詳細な見積を取得し、初期費用から運用費用までの総コストを算出します。

その上で、サポート体制の詳細、SLA、契約条件などを確認し、社内関係者と最終協議を行った上で、最も自社に適した CMS を決定する最終段階です。契約前に、サポート窓口への問い合わせや、緊急時の対応フローについても確認しておきましょう。

主要 CMS の種類と比較表(2025年7月時点)

市場で主要な CMS の特徴を比較表でまとめました。各 CMS の違いを理解して、自社の要件に合うものを見つけてください。

CMS導入費用月額費用難易度拡張性サポートホスティング
WordPress無料580円〜コミュニティ自前サーバ or クラウド版(WP VIP等:年間370万円〜)
Movable Type99,000円〜
※1
5,000円〜※2公式サポート自前サーバ or クラウド版(Six Apart提供)
Drupal無料※3コミュニティ自前サーバ
STUDIO無料590円〜※4公式サポートホスティング込み
Wix無料1,300円〜公式サポートホスティング込み

※1 Movable Type ソフトウェア版:ソフトウェア版の場合、買い切りのため月額費用は0円となる。
※2 Movable Type クラウド版:クラウド版(MT クラウド)は月額5,000円〜
※3 Drupal:Drupal はオープンソースの CMS であり、そのコアソフトウェアは無料で利用可能だが、ホスティング、ドメイン、開発など、多岐にわたる費用が発生する。
※4 STUDIO 月額費用:2024年12月に新設された Mini プランが月額590円(年払い時)。

【サイト規模別】おすすめの CMS 一覧

サイトの規模に応じて最適な CMS をご紹介します。現在の要件だけでなく、将来的な拡張性も考慮して選択することが重要です。

小規模サイトにおすすめの CMS

10〜50ページ程度の企業サイトや個人事業主サイトには、WordPress、Wix、STUDIO などの簡易 CMS 推奨します。

WordPress(シンプル構成)
基本テーマを活用したシンプルな構成で運用できます。共用サーバでも十分に動作し、月額1,000円程度から利用可能なホスティングサービスです。なお、ホスティング費用に関してはこの金額のみで、WordPress などのアプリケーション自体は無料で利用できます。また、初心者でも管理画面が直感的で、豊富なテーマから選択するだけで質の高いサイトを構築できます。さらに、SEO 対策も標準で充実しているため、検索エンジン対策を重視する企業に適しています。

Wix
ドラッグ&ドロップの直感的操作で専門知識不要です。月額1,300円からのオールインワンサービスで、ホスティングやドメイン管理も含まれています。テンプレートが豊富で、デザイン性の高いサイトを短時間で作成可能です。そのため、小規模ビジネスに最適なソリューションといえます。

STUDIO
日本製のノーコード CMS です。レスポンシブデザインが自動生成され、デザイン性を重視したサイト制作が可能になります。月額1,980円から利用でき、日本語サポートが充実しています。そのため、ブランドサイトやポートフォリオサイトに適しているでしょう。

中規模サイトにおすすめの CMS

100〜1,000ページ規模の企業サイトやメディアサイトには、以下の CMS が適しています。

WordPress(プラグイン活用)
豊富なプラグインを活用して機能拡張を行う構成です。VPS や専用サーバでの運用により、パフォーマンスとセキュリティを向上させられます。また、SEO プラグイン、キャッシュ系プラグイン、セキュリティプラグインを組み合わせて企業レベルのサイトを構築可能です。

Movable Type
日本企業製で企業サイトに特化しています。静的サイト生成によりセキュリティが高く、大量アクセスにも対応できます。ライセンス費用はかかりますが、日本語サポートが充実し、企業の公式サイトや官公庁サイトでの実績が豊富です。中規模までのサイト運営では、サーバメンテナンスが不要なクラウド版(ホスティング込みのサービス)の利用が推奨されています。

Drupal
高度なカスタマイズが可能なオープンソース CMS です。複雑な権限管理や多言語対応が標準装備されています。技術的なスキルは必要ですが、エンタープライズレベルの要件にも対応できる柔軟性を持っています。また、中規模から大規模への拡張も容易です。

大規模サイトにおすすめの CMS

1,000ページ以上の大規模サイトや高トラフィックサイトには、以下の CMS が適しています。

WordPress(Enterprise/VIP)
WordPress.com VIP や WordPress Enterprise を活用した大規模対応です。専用インフラ、24時間監視、セキュリティ対策が包括的に提供されます。月間数百万 PV にも対応可能で、グローバル企業での導入実績も豊富です。ただし、年額数百万円の投資が必要になります。

Movable Type(Enterprise)
大規模サイトに対応した企業向けパッケージです。高度な権限管理、ワークフロー機能、マルチサイト管理を標準装備しており、官公庁や大手企業での豊富な導入実績があります。初年度メンテナンスが含まれており、公式サポート体制が充実している点も大きなメリットです。大規模サイトや CMS 以外のシステムをサーバ上に設置する必要がある場合は、自前のクラウド環境やオンプレミス環境での運用が推奨されます。

Drupal
機能面では大規模サイト向けに優れた特徴を持つオープンソース CMS です。複雑なワークフロー、高度な権限管理、マルチサイト管理が可能で、政府機関や大学、グローバル企業での採用実績があります。ただし、日本国内では利用者数や情報量が限定的で、開発・保守を請け負える専門会社が少ないという課題があります。そのため、導入を検討される場合は、長期的なサポート体制の確保について慎重に検討することが重要です。

カスタム開発 CMS
既存 CMS では満たせない独自要件がある場合の選択肢です。完全にカスタマイズされたシステムにより、理想的なサイト運営を実現できます。開発・保守コストは高額ですが、他社との差別化や独自機能の実装が可能です。

まとめ

CMS 選定は、サイト運営の成否を大きく左右する重要な意思決定です。本記事でご紹介した6つの選定ポイントを踏まえ、自社のニーズに合った CMS を選ぶことが成功の鍵となります。

過去の失敗事例を参考に、体系的な5ステップの選定プロセスを実践することで、移行や運用リスクを抑えられます。また、サイト規模に応じた CMS 選択は、コストパフォーマンスの向上にもつながります。

さらに、CMS は一度選んで終わりではなく、事業の成長や変化にあわせて見直しが必要です。将来的な拡張性や運用のしやすさも考慮し、長期的な視点で最適なCMSを選びましょう。WordPress での CMS 構築や移行を検討されている方は、デジタルキューブの WordPress 関連サービスもぜひご活用ください。豊富な実績と技術力で、最適な CMS 導入をトータルにサポートいたします。

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