
「低コストで自社のオンライン販売を始めたいが、WordPress で本当に大丈夫だろうか」—そんな不安を抱えていませんか。中小企業のマーケティング担当者や Web 担当者にとって、EC サイト構築は新たな挑戦であり、特に決済やセキュリティなど専門的な領域への不安は大きいものです。
Shopify や BASE といった専用サービスと比べて、WordPress での EC サイト構築にはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、技術的な知識が限られた中でも失敗せずに導入するにはどうすればよいのでしょうか。
本記事では、WordPress EC サイト構築の基本手順から決済方法の選択、在庫管理、セキュリティ対策まで、実践的な内容を分かりやすく解説します。限られた予算とリソースの中でも、安全で効率的な EC サイトを構築するための具体的な方法をお伝えし、WordPress で EC サイトを作る全体の流れを理解していただけるでしょう。
WordPress で EC サイトを構築するメリットと課題
EC サイト構築において、WordPress は多くの選択肢の中でも特徴的な位置づけにあります。専用の EC サービスとは異なる独自のメリットと課題を理解することで、適切な判断ができるようになります。
Shopify や BASE との違い
Shopify は月額料金制で専門的な EC サイトが簡単に作れますが、カスタマイズに制限があります。BASE は無料で始められますが取引手数料が高くなります。WordPress は初期設定に手間がかかるものの、長期的なコストと自由度で優位性を発揮します。
具体的には、Shopify の基本プランは月額29ドル(約4,500円 / 2025年12月10日時点)で、取引手数料は2.9%です。BASE は初期費用無料ですが、決済手数料3.6%+サービス利用料3%で合計6.6%のコストがかかります。一方、WordPress は基本的に月額料金や取引手数料がなく、サーバー代とドメイン代のみで運営できるため、売上が増加するほどコストメリットが大きくなります。
しかし実際のところ、事業計画と照らし合わせて適切な選択をすることが重要です。WordPress と Shopify の比較検討から導入まで一貫したサポートを受けたいなら、専門家に相談してみましょう。LabWorks なら、Shopify の正規パートナーとして、Shopify でのネットショップ構築もサポート可能です。
WordPress を使うメリット(コスト・自由度・拡張性)
月額料金や取引手数料がかからず、長期運営でコストメリットが大きくなります。豊富なテーマとプラグインでデザインや機能を自由にカスタマイズでき、事業成長に合わせて柔軟に拡張できます。SEO にも強く、検索からの集客効果が高いのも特徴です。
WordPress の最大の強みは拡張性にあります。数万種類のプラグインが利用でき、EC サイトに必要な機能をほぼ全て追加できます。また、既存のコーポレートサイトに EC 機能を追加したり、ブログと EC を統合したりといった柔軟な運用も可能です。SEO の面では、WordPress の柔軟な URL 構造とコンテンツ管理機能により、検索エンジン最適化を細かく調整できます。
導入前に知っておくべき課題(セキュリティ・運営負荷)
WordPress は狙われやすく、セキュリティ対策が必須です。定期的なアップデートやバックアップが必要で運営負荷が高くなります。決済や SSL 証明書、プラグインの管理など技術的な知識が求められます。サーバー選びも重要な要素となります。
特に EC サイトでは個人情報や決済データを扱うため、セキュリティリスクが一般的な Web サイトより高くなります。WordPress 本体、テーマ、プラグインの定期更新、不正アクセス監視、データベースのバックアップなど、継続的な保守作業が必要です。また、決済代行サービスとの連携設定や SSL 証明書の設定など、技術的な作業も発生します。
このような技術的な運営負荷が高いと感じる場合は、専門家に相談しましょう。LabWorks は、AWS、Netlify などのインフラパートナーであり、Amimoto Anywhere による保守・運用管理サービスも対応可能です。
WordPress で EC サイトを構築する手法を選ぶための判断基準
売上規模、求める機能、運営体制によって最適な手法が異なります。事業計画と照らし合わせて適切な選択をすることで、後々の拡張や移行コストを抑えられます。
小規模なら外部カート
月商100万円以下の小規模ECなら外部カートサービスとの連携がおすすめです。STORES やカラーミーショップのカート機能を WordPress サイトに埋め込む形で、簡単に導入できます。セキュリティリスクが低く、初心者でも安心して運営できます。
外部カート連携の場合、決済処理やセキュリティ対策を外部サービスに任せられるため、技術的な負担を大幅に軽減できます。商品情報は WordPress で管理し、購入処理のみ外部サービスを利用する形になります。初期費用を抑えてスタートできるため、テストマーケティングや小規模事業に適しています。
なお、このような外部サービスとの連携は、専門家に対応を依頼することも可能です。LabWorks であれば、WordPress と外部システムのインテグレーション専門サービスにおいて、複数の SaaS パートナーとの連携実績があります。
拡張性重視なら WooCommerce
世界シェア No.1 の WordPress 専用 EC プラグインです。豊富な拡張機能と高いカスタマイズ性を持ちます。中〜大規模ECに対応でき、在庫管理から顧客管理まで一元化できます。ただし設定が複雑で、ある程度の技術知識が必要になります。
WooCommerce は全世界で500万以上のサイトで利用されており、拡張プラグインも数千種類用意されています。多言語対応、多通貨対応、定期購入、アフィリエイト機能など、高度な機能も実装できます。無料版でも基本的な EC 機能は十分に利用でき、有料の拡張プラグインで機能を追加していく形になります。
日本向けの細かい機能を求めるなら Welcart
日本の EC 商習慣に特化した国産プラグインです。代金引換、銀行振込、送料の細かい設定など日本特有の要求に対応しています。サポートも日本語で受けられます。機能は充実していますが、WooCommerce ほどの拡張性はありません。
Welcart は日本の商習慣を深く理解して開発されており、郵便番号から住所の自動入力、都道府県別送料設定、代金引換手数料の細かい設定など、日本の EC サイトに必要な機能が標準で用意されています。日本語でのサポート体制も整っているため、トラブル時の対応も安心です。
EC サイト構築の基本ステップ
EC サイト構築は段階的に進めることで、効率的かつ確実に完成させることができます。各ステップでのポイントを理解し、計画的に作業を進めましょう。
サイト構成と商品カテゴリーの設計
ユーザーが商品を見つけやすいナビゲーション設計が重要です。商品カテゴリーは3階層以内に収め、検索機能も充実させます。商品一覧ページ、詳細ページ、カートページの導線を最適化し、離脱率を下げる工夫が売上向上につながります。
情報アーキテクチャの設計では、ユーザーの購買行動を想定した構成を心がけます。トップページから商品詳細まで3クリック以内でアクセスできるようにし、各ページに適切な内部リンクを配置します。パンくずリストやサイドバーのカテゴリー一覧により、ユーザーが現在の位置を把握しやすくすることも重要です。
決済方法の導入(クレジット・銀行振込・外部決済サービス)
主要な決済手段は必ず導入します。クレジットカード決済は Stripe や Square が人気です。銀行振込は手数料が安く、高額商品に適しています。PayPal や Amazon Pay などの外部決済サービスも利用者が多く、決済の選択肢が多いほどコンバージョン率が向上します。
決済手段の選択は顧客の購買行動に大きな影響を与えます。クレジットカード決済は利便性が高く、最も多く利用される決済方法です。銀行振込は信頼性が高く、高額商品の購入で選ばれやすい傾向があります。PayPay や d払いなどのスマートフォン決済も普及しており、ターゲット層に応じて導入を検討する必要があります。
送料・配送ルールの設定
送料設定は購入率に大きく影響するため慎重に検討します。地域別、重量別、金額別など複数のルールを組み合わせて設定します。送料無料ラインを設けることで客単価向上も期待でき、配送業者との契約や配送オプションの充実も重要です。
送料の透明性は顧客満足度に直結します。商品ページや購入画面で送料を明確に表示し、計算方法も分かりやすく説明する必要があります。また、配送日時指定、時間帯指定、置き配対応など、顧客のライフスタイルに合わせた配送オプションを用意することで、利便性を向上させることができます。
在庫管理と商品登録の基本
正確な在庫管理は顧客満足度に直結します。商品登録時は高品質な画像と詳細な説明文を用意し、SEO を意識したタイトル付けを行います。在庫切れ時の自動通知機能や予約注文機能も検討し、効率的な商品管理システムの構築が運営負荷軽減につながります。
商品画像は複数角度から撮影し、使用シーンや詳細部分も含めることで、顧客の購買意欲を高めることができます。商品説明文では、スペックだけでなく、使用感やメリット、注意点なども記載し、購入後のミスマッチを防ぎます。また、関連商品の提案機能により、客単価向上も期待できます。
WordPress で EC サイトを運営する際の注意点
EC サイト運営では、一般的な Web サイトとは異なる特別な注意が必要です。顧客の信頼を獲得し、長期的に安定した運営を行うための重要なポイントを理解しましょう。
セキュリティ対策を怠るとリスクが高まる
EC サイトは個人情報や決済データを扱うためサイバー攻撃の標的になりやすくなります。セキュリティ対策が不十分だと顧客情報漏洩や不正利用のリスクが高まります。定期的なセキュリティ監査、プラグインの更新、強固なパスワード設定が必須です。
特に重要なのは、WordPress 本体とプラグインの定期更新です。脆弱性が発見されると、悪意のある攻撃者に狙われるリスクが急激に高まります。また、管理者アカウントの二段階認証、不正ログイン監視、定期的なバックアップなど、総合的なセキュリティ対策を実施することが重要です。
より強固な対策を望むのであれば、専門家への相談をおすすめします。LabWorks なら、機能特化したSaaS使用によりリスクを減らすアプローチが可能です。
サイト表示速度が売上に直結する
ECサイトでは表示速度がコンバージョン率に大きく影響します。1秒の遅延で売上が7%減少するという調査結果もあります。画像最適化、キャッシュ導入、不要なプラグインの削除でサイト速度を改善し、ユーザー体験向上と売上アップを両立させることができます。
特に商品画像の最適化は重要です。高画質を保ちつつファイルサイズを圧縮し、WebP 形式の採用も検討します。また、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の活用により、世界中のユーザーに高速でコンテンツを配信できます。ページの読み込み時間は3秒以内を目標とし、定期的な速度測定と改善を継続することが大切です。
決済・個人情報の取り扱いは信頼性に直結する
決済エラーや個人情報の不適切な取り扱いは顧客の信頼を大きく損ないます。特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシーの整備、SSL証明書の導入は最低限必要です。PCI DSS 準拠の決済サービス利用で安全性を確保することが重要です。
法的な要求事項として、特定商取引法に基づく表記では、事業者名、所在地、連絡先、返品・交換条件、支払方法、配送料などを明記する必要があります。プライバシーポリシーでは、収集する個人情報の種類、利用目的、第三者提供の有無などを詳細に説明します。顧客からの問い合わせに迅速に対応できる体制を整えることも信頼獲得の重要な要素です。
なお、LabWorks なら、Stripe の正規パートナーとして、安全かつスピーディな決済システム導入をサポート可能です。発生し得る「決済の技術的な作業」から、決済・契約状況管理の専用ダッシュボード開発まで、網羅的に対応しています。
まとめ
WordPress EC サイト構築は、適切な計画と実装により、コスト効率と機能性を両立した優れたオンライン販売システムを構築できます。Shopify や BASE といった専用サービスと比較して、長期的なコストメリットと高いカスタマイズ性が大きな魅力です。
EC サイトの規模や求める機能に応じて、外部カート連携、WooCommerce、Welcart などの選択肢から最適な手法を選ぶことが重要です。小規模から始めて段階的に機能を拡張していくことで、リスクを最小化しながら事業を成長させることができます。
ただし、セキュリティ対策、サイト速度最適化、法的要求事項への対応など、ECサイト特有の課題も存在します。これらの課題を適切に理解し、継続的に対策を講じることで、顧客から信頼される安全で使いやすいECサイトを運営できるでしょう。
本記事で紹介した手順と注意点を参考に、ぜひ WordPress での EC サイト構築に挑戦していただければと思います。適切な準備と段階的な実装により、限られた予算とリソースでも成功する EC サイトを構築することが可能です。
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