
自社プロダクトの開発に注力したいエンジニアや技術責任者にとって、WordPress の保守運用は悩ましい問題です。「社内でやれば費用はかからない」という考え方は一見合理的ですが、担当者の時間にもコストが発生しており、内製が本当に合理的な選択かどうかは、丁寧に検討する必要があります。
本記事では、我々がお客様の現場で見てきた知見をもとに、WordPress 保守を内製と外注のどちらで行うべきかを判断するための基準を整理します。
目次
内製が向いているケース
WordPress の保守運用を社内で行うことが合理的なのは、以下の条件が重なっている場合です。
技術的な知見を持つ担当者が、継続的に情報をキャッチアップしている
PHP や MySQL、サーバ環境に関する基礎的な知識を持つエンジニアが社内にいることは、内製を検討するうえでの前提条件です。ただし、それだけでは十分とはいえません。WordPress のプラグインやテーマの脆弱性情報、コアのアップデート内容、プラグイン同士の互換性の変化は日常的に発生しており、実際に手を動かし続けているか、あるいは情報を継続的にインプットしている担当者でなければ、保守の質を安定して保つことは難しいでしょう。
担当者が保守業務に割ける時間を確保できている
技術的な知見があっても、担当者が本来の業務で手一杯な状況では、保守対応の質が落ちたり後回しになったりするリスクがあります。保守専任ではなく兼任前提であっても、月に一定の工数を無理なく確保できる体制かどうかを確認することが重要です。
サイト規模が小さく、保守の負荷が軽い
ページ数やプラグインの数が少なく、カスタマイズも最小限のサイトであれば、保守作業そのものの工数が限られます。更新頻度の低いコーポレートサイトなど、変化の少ないサイトであれば内製でも十分に回るケースがあります。
外部委託を検討すべきサイン
一方で、以下のような状況が当てはまる場合は、外部委託を前向きに検討する余地があります。
エンジニアが WordPress 保守に時間を取られている
自社プロダクトの開発やインフラ改善といった、より付加価値の高い業務がある中で、WordPress の定例アップデートや脆弱性対応に時間を使っている状況は、リソース配分として見直す価値があります。LabWorks が現場で見てきた感覚では、こうした状況が常態化しているケースは少なくありません。
保守が特定の担当者に属人化している
「あの人がいないと WordPress のことが分からない」という状態は、担当者の退職や異動が発生した際に深刻なリスクになります。引き継ぎ文書が整備されていない、あるいは整備するコストが高い場合は、外部への委託によって属人化を解消できます。
深夜・休日の障害対応が発生している、または発生しうる
ビジネスに影響するサイトが夜間にダウンした場合、社内対応では担当者が不在で復旧が遅れるリスクがあります。24 時間の監視体制を社内で整えることは現実的でないケースが多く、外部委託によって対応品質を担保することが合理的です。
脆弱性情報の収集・判断が追いついていない
プラグインやテーマの脆弱性情報は、日々更新されます。深刻度の判断や緊急対応の要否を正確に見極めるには、WordPress セキュリティの継続的なキャッチアップが必要です。本来業務と並行してこれを行うことが難しい場合、専門家に委ねる判断が有効です。

「全て外注」でなくてもよい
外部委託を検討する際、すべての作業を丸ごと任せる必要はありません。社内でできること、外部に任せるべきことを切り分けることで、コストを抑えながらリスクを低減できます。
たとえば、コンテンツの更新や軽微なデザイン調整は社内で対応し、WordPress 本体・プラグインのバージョンアップ、セキュリティ監視、インフラ周りの管理を外部に委託するという分担は、多くの企業にとって現実的な選択肢です。
重要なのは「誰が」「何を」「どこまで担当するか」を明文化しておくことです。曖昧なまま運用を続けると、対応漏れや責任の所在が不明確になるリスクがあります。
外部委託先を選ぶ際の確認ポイント
委託先を選ぶ際には、以下の点を確認しておくことをお勧めします。
対応範囲の明確さ
何が月額費用の範囲内で、何が追加費用になるかを事前に確認します。「すべてお任せ」という表現は、いざというときに対象外と言われるリスクを含む場合があります。
緊急時の対応体制
脆弱性の緊急公開や障害発生時に、何時間以内に初動対応が取れるかを確認します。夜間・休日の対応可否も重要な判断基準です。
WordPress 専門性の深さ
一般的な Web 制作会社とは異なり、WordPress のアーキテクチャやプラグインの挙動を深く理解しているかどうかが、トラブル時の対応品質を左右します。
情報セキュリティへの取り組み
管理画面やサーバへのアクセス権限を渡す以上、守秘義務契約の締結はもちろん、情報セキュリティに関する認証の有無も確認しておくとよいでしょう。
コミュニケーションの取りやすさ
スムーズにやり取りできるかどうかは、継続的な関係において重要な要素です。海外ホスティングサービスでは英語対応が前提となるケースもあり、タイムゾーンのズレが障害対応時のボトルネックになることがあります。
状況に応じて提案する選択肢
WordPress の保守運用を外部に委託する際、サイトの性質によって適した選択肢が異なります。LabWorks では、サイトの状況に応じて Amimoto(アミモト)と Shifter(シフター)の 2 つをご提案しています。
Amimoto は AWS をベースにした WordPress 専用のマネージドホスティングサービスです。動的サイトや、多くのメンバーが更新・運営に関わるサイト、独自開発のプラグインを活用している大規模サイトに向いています。OS・ミドルウェアのバージョン管理、サーバの死活監視、セキュリティパッチの適用といったインフラ領域の保守を担います。
なお、WordPress の保守にはインフラ領域のほかに、WordPress 本体・プラグインのアップデート確認や動作検証といった WordPress・PHP 領域の作業も存在します。この2つは必要なスキルセットが異なるため、社内で賄おうとすると実質的に2名の担当者が必要になります。LabWorks では Amimoto と WordPress アップデート代行サービスを組み合わせてご提案することで、両領域をまとめてアウトソースできる体制をご提案しています。
Shifter は WordPress サイトを静的化して配信するホスティングサービスです。更新頻度が低いコーポレートサイトやセキュリティを重視したいサイトはもちろん、静的化や CDN の活用によって高トラフィックへの耐性が高まるため、アクセス集中が見込まれるサイトにも有効です。一方で、独自開発のプラグインを使っているサイトや、多くのメンバーが日常的に更新・運営に関わる大規模サイトには向かない場合があります。
どちらも、12 年以上の運用実績と AWS ISV パートナーのデジタルキューブが提供しており、日本語・日本人スタッフによる対応のため、障害発生時も英語でのやり取りやタイムゾーンのズレを気にする必要がありません。
自社のサイトにどちらが合っているかを整理したい、という段階からでもお気軽にご相談ください。
まとめ
WordPress の保守を内製と外注のどちらで行うべきかは、技術的な知見・担当者の工数・サイト規模・リスク許容度によって異なります。「社内でやれば費用がかからない」という前提で判断するのではなく、担当者の時間コストや属人化リスク、障害発生時の対応品質まで含めて総合的に評価することが重要です。
すべてを外部に任せる必要はありませんが、エンジニアが本来注力すべき業務に集中できる体制を作ることが、中長期的な開発生産性の観点からも合理的な判断となるでしょう。
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