
「WordPress 保守サービスの導入を検討しているけれど、費用相場がわからない…」
Web 担当者の多くが直面する悩みではないでしょうか。情報システム部門からセキュリティ対策を求められ、保守管理サービスの必要性は感じているものの、適正な予算感がつかめずに検討が進まない方も多いはず。
WordPress 保守サービスの料金体系は業者によって大きく異なり、月額数千円から数万円まで幅広い価格帯が存在します。安易に最安値を選ぶと必要な対応が含まれておらず、かえって高額になるリスクも潜んでいます。
本記事では、サイト規模別の費用相場から、安すぎるサービスの落とし穴、自社に最適な予算の決め方まで詳しく解説します。記事を読み終える頃には、どの位の費用感の会社に依頼すればよいかが明確になり、適切な予算確保に向けて動き出せるでしょう。
目次
WordPress 保守の費用相場は月額3000円~50000円
WordPress 保守サービスの一般的な相場は月額3,000円から50,000円以上まで幅広く設定されており、サイトの規模や目的に応じて適切な価格帯を選択することが重要です。
項目 | 小規模サイト | 中規模サイト | 大規模サイト |
---|---|---|---|
月額費用 | 3,000円〜10,000円 | 10,000円〜30,000円 | 30,000円〜50,000円以上 |
対象サイト | 個人ブログ 小規模店舗サイト 基本的なコーポレートサイト | 企業メインサイト 中規模 EC サイト メディアサイト | 大企業サイト 大規模 EC サイト 大規模メディアサイト |
WordPress更新 | 定期的な本体・テーマ・プラグインの更新 | 定期的な本体・テーマ・プラグインの更新、互換性テスト | 定期的な本体・テーマ・プラグインの更新、厳格な互換性テスト、ステージング環境での事前検証 |
基本セキュリティ | 基本的なマルウェアスキャン、不正ログイン対策 | 基本的なマルウェアスキャン、不正ログイン対策、WAF 導入推奨 | 高度なマルウェアスキャン、WAF 導入、DDoS 対策、脆弱性診断 |
定期バックアップ | 日次または週次バックアップ、一定期間の保管 | 日次バックアップ、複数世代の保管、遠隔地バックアップ | リアルタイムバックアップ、複数世代の長期保管、災害対策 |
稼働監視 | 24時間365日死活監視、簡易なパフォーマンス監視 | 24時間365日死活監視、詳細なパフォーマンス監視、リソース監視 | 24時間365日死活監視、詳細なパフォーマンス監視、リソース監視、異常検知システム |
基本保守作業 | 軽微なトラブル対応、簡単な設定変更 | 軽微なトラブル対応、設定変更、障害発生時の復旧作業 | 複雑なトラブル対応、緊急時の復旧作業、サーバー・DB 最適化 |
強化セキュリティ | – | 簡易な不正アクセス対策、セキュリティ診断 | 高度な不正アクセス対策、専門家による定期的なセキュリティ監査、SOC 連携 |
サイト分析 | 簡易なアクセス解析レポート | 詳細なアクセス解析レポート、SEO 基礎分析 | 高度なアクセス解析、SEO 詳細分析、ユーザー行動分析 |
改善提案 | 簡易な改善提案 | パフォーマンス改善提案、UI/UX 改善提案 | サイト全体の戦略的改善提案、ビジネス目標達成に向けた提案 |
包括的保守 | – | 基本的な保守作業に加えて、セキュリティ・パフォーマンスの一部をカバー | 全ての保守項目を網羅、コンサルティングを含む |
高度セキュリティ | – | – | 専門家によるセキュリティコンサルティング、インシデント対応計画 |
パフォーマンス最適化 | – | キャッシュ設定、画像最適化 | CDN 導入、データベース最適化、コードレビュー、サーバーチューニング |
専任担当者配置 | – | – | 専任の技術担当者、緊急連絡体制 |
費用の差は主にサービス内容の充実度、対応範囲、サポート体制の違いによるものです。単純な更新作業のみの基本サービスから、24時間監視や専任担当者による包括的なサポートまで、提供される価値に応じて料金が設定されています。
重要なのは最安値を選ぶことではなく、自社サイトの特性とビジネスにおける重要度に見合ったサービスレベルを選択することです。以下、サイト規模別の詳細な費用相場を見ていきましょう。
個人・小規模サイトの保守費用|月額3,000〜10,000円程度
個人ブログや小規模な店舗サイト、会社の基本的なコーポレートサイトなど、月間PV数が数千から数万程度、ページ数が50ページ以下、使用プラグインが10個以下といったシンプルな構成のサイトが対象となります。
基本的な WordPress 機能のみを使用し、カスタマイズは最小限に留められているケースが多く見られます。アクセス数が比較的少なく、サイトの停止による直接的な売上影響が限定的な場合に適した価格帯です。
サイトの安定稼働を維持するための最低限の保守作業が中心となり、WordPress 本体・テーマ・プラグインの更新、基本的なセキュリティ対策、定期バックアップ、稼働監視などが含まれることが一般的です。ただし、緊急時の対応は営業時間内に限定されることが多く、コンテンツ更新やデザイン修正は別料金となる場合があります。
中規模サイトの保守費用|月額10,000〜30,000円程度
企業のメインサイトや中規模の EC サイト、アクセス数が増加してきたメディアサイトなど、月間 PV 数が数万から数十万程度、ページ数が100~500ページ程度のサイトが対象となります。会員機能や問い合わせフォーム、予約システムなどの機能を実装し、複数のプラグインを活用したサイトに適した価格帯といえるでしょう。
ビジネスに与える影響が大きくなるため、より充実したサポートと迅速な対応が求められます。基本的な保守作業に加えて、セキュリティ対策の強化、定期的なサイト分析・改善提案、緊急時の対応時間短縮が特徴です。
また、近年はAWS等のクラウド環境で WordPress を運用する企業も増えており、従来の共有サーバーとは異なる保守ニーズが生まれています。このような環境では、クラウド特有の技術に精通した専門的な保守サービスが重要になります。
例えば「LabWorks」では、WordPress 専業15年以上の豊富な実績と専門知識を活かし、WordPress コアのアップデートからプラグイン・テーマのコンサルティングまでベストプラクティスに基づいた包括的なサポートを提供しています。
WordPress 運用の安定性と専門性を重視する企業にとって注目される選択肢となっています。
また、電話サポートや専用窓口の設置、月次レポートの提供、軽微なコンテンツ更新の対応なども含まれることが多く、単純な保守にとどまらない包括的なサイト運用支援を受けられる価格帯となります。
大規模サイト・ECサイトの保守費用|月額30,000円〜50,000円以上
大企業のコーポレートサイト、大規模ECサイト、大規模メディアサイトなど、月間PV数が数十万以上、ページ数が数千ページに及ぶ、複雑な機能実装やカスタマイズが施されたビジネスクリティカルなサイトが対象となります。
サイトの停止やセキュリティ事故が直接的に大きな損失につながるため、最高レベルの保守体制が必要となります。24時間365日の監視体制、専任担当者の配置、高度なセキュリティ対策、迅速な復旧保証などのエンタープライズレベルのサービスが提供されます。
定期的なパフォーマンス最適化や SEO 対策、ユーザビリティ改善提案に加え、サーバ・ドメイン管理の一元化、災害時の BCP 対応、コンプライアンス対応なども重要な要素として含まれます。単なる保守作業を超えて、サイトの戦略的な成長支援まで視野に入れた包括的なサービスが特徴です。
WordPress 保守は費用の安さだけで選ぶべきではない
WordPress 保守サービスを価格だけで選ぶと、長期的に大きな損失を被るリスクがあります。
サイトのセキュリティ事故や長時間のダウンタイムが発生した場合、その被害額は月額保守費用の何倍、何十倍にもなる可能性があります。例えば、EC サイトが1日停止すれば数十万円から数百万円の売上損失、個人情報漏洩が発生すれば損害賠償や信頼回復にかかる費用は数千万円規模になることも珍しくありません。
適切な保守を怠ることで発生する被害額は、保守費用を大幅に上回る場合が多いのが現実です。安さを最優先にした選択は、結果的に高い授業料を払うことになりかねません。費用対効果を正しく評価し、リスクヘッジとしての保守の価値を理解することが重要です。
安すぎる WordPress 保守サービスの落とし穴
格安の保守サービスには、表面的には見えない様々なリスクが潜んでいます。価格の安さに惑わされず、サービス内容を詳細に確認することが大切です。
作業範囲が極端に限定されている
安価なサービスでは、「WordPress 保守」と謳っていても実際の作業内容が大幅に制限されている可能性があります。
よくある制限例
- WordPress 本体の更新のみでプラグインやテーマの更新は含まれない
- セキュリティ対策は自動更新のみで脆弱性チェックは別料金
- バックアップは取得するが復旧作業は対象外
- 監視はするが分析や改善提案は含まれない
- 緊急時の通知のみで実際の対応は別料金
サイト全体の安全性が担保されず、アップデートから放置されたプラグインやテーマの機能から脆弱性が生じるリスクがあるため、事前に作業範囲の詳細を確認しておくべきです。見た目は同じ「WordPress 保守」でも、実際の保護範囲には大きな違いがあることを理解しましょう。
緊急時対応が実質的に機能しない
格安サービスでは緊急時のサポート体制が十分に整っていない場合があり、実際の緊急時には十分な対応が受けられないケースもあります。
監視システムによる自動通知は行われるものの、実際の復旧作業は別料金となっていたり、対応時間が大幅に遅れたりする可能性があります。「24時間監視」と謳っていても、人的対応は営業時間内のみ、緊急時の初期対応は自動メールのみといった制限があることも少なくありません。
サイトのダウンタイムが長期化すれば、保守費用の節約分を大幅に上回る損失が発生するリスクを十分に検討する必要があります。
セキュリティ対策が不十分
格安サービスの場合、セキュリティ対策は表面的なものが多く、高度な攻撃や新しい脅威に対応できない可能性があります。
基本的なファイアウォール設定や既知の脆弱性対応のみで、新たな攻撃手法への対応や詳細なログ分析、侵入検知などの高度なセキュリティ機能は含まれていないことが一般的です。また、セキュリティアップデートの適用タイミングが遅く、脆弱性が長期間放置されるリスクもあります。
結果として重大なセキュリティ事故につながるリスクが高く、一度事故が発生すれば復旧費用や損害賠償などで莫大なコストが発生する可能性があります。
サポート品質が低い
コスト削減のため、経験の浅いスタッフや海外スタッフが対応することもあり、技術的な問題解決能力が低く、コミュニケーションにも支障が生じがちです。
問い合わせに対する回答が的確でない、技術的な説明が不十分、日本語でのコミュニケーションが困難といった問題が発生する場合があります。また、担当者が頻繁に変わるため、サイトの状況や過去の対応履歴が引き継がれず、毎回一から説明が必要になることもあります。
サポート品質の低さは、問題解決の遅延や誤った対応による二次被害を引き起こすリスクを高めます。
隠れた追加費用が発生する
基本料金は安く設定されていますが、実際に必要な作業の多くが有料オプションとなっており、結果的に割高になることもあります。
よくある追加費用
- 緊急時の対応費用
- 詳細調査費用
- 復旧作業費用
- カスタマイズ対応費用
- 契約期間中の料金改定
- 解約時の違約金
- サーバー移転作業費用
- SSL 証明書更新費用
月末の請求額が想定を大幅に上回るケースも珍しくありません。事前に対応範囲と追加費用の条件を明確にしておかなければ、予算管理が困難になり、かえって高額な保守費用を支払うことになりかねません。
自社にマッチした WordPress 保守サービスを選ぶポイント
適切な保守サービス選択のためには、自社の状況を正確に把握し、それに応じたサービスレベルを見極めることが重要です。
サイトの目的と役割に合っているかを見極める
サイトがビジネスにおいて果たす役割によって、必要な保守レベルは大きく異なります。
会社案内程度の情報提供サイトと、売上に直結するECサイトでは、求められる可用性や復旧時間に大きな差があります。また、ブランディング重視のコーポレートサイトと集客重視のメディアサイトでは、重視すべきポイントも変わってきます。
サイトの役割を明確にし、それに応じた適切なサービスレベルを選択することが重要です。過剰なサービスは予算の無駄遣いとなり、不足するサービスは事業リスクを高めることになります。
必要な範囲を切り分けて考える
すべての作業を保守会社に任せる必要はありません。社内リソースと外部委託を適切に使い分けることで、コストを最適化できます。
定期的なコンテンツ更新や軽微な修正は社内で対応し、技術的な更新作業やセキュリティ対策は外部に委託するといった役割分担を明確にすることで、保守費用を抑えながら効果的な運用体制を構築できます。
また、将来的な社内体制の変化も考慮し、段階的に委託範囲を調整できる柔軟なサービスを選択することが望ましいでしょう。
緊急時の対応スピード・手段を確認する
緊急時の対応体制は事業継続性に直結する重要な要素となります。
確認すべきポイント
- サポート時間:営業時間内のみか24時間対応か
- 連絡手段:電話・メール・チャットのどれが利用可能か
- 初期対応時間:連絡から何時間以内に対応開始するか
- 復旧目標時間:どの程度の時間で復旧を完了するか
- 対応範囲:緊急時に無料対応される範囲はどこまでか
- エスカレーション体制:重大な問題時の上位対応者への連絡体制
特に売上に直結するサイトでは、1分1秒の停止時間も大きな損失につながるため、迅速な対応体制は必須条件となります。
現在の運用体制とリソースを踏まえる
社内の Web 運用体制とリソースを正確に把握し、補完する形で保守サービスを選択することが重要です。
担当者のスキルレベル、対応可能時間、予算制約などの現実的な制約を踏まえ、自社で対応できる部分と外部に委託すべき部分を明確に区別しましょう。不足している領域を重点的にカバーできるサービスを選ぶことで、コストを抑えながら効果的な運用体制を構築できます。
また、担当者の異動や退職などの変化にも対応できる、属人化しない運用体制の構築も重要な検討事項です。
契約内容の柔軟性や拡張性があるか確認する
事業の成長やサイトの拡張に応じて、保守サービスも柔軟に対応できることが重要です。
確認すべき契約条件
- 最低契約期間:何ヶ月または何年の契約が必要か
- プラン変更:契約期間中にサービス内容を変更できるか
- 解約条件:解約時の違約金や通知期間
- 料金改定:値上げの条件や通知期間
- サービス拡張:サイト規模拡大時の対応可否
- 一時的な負荷対応:アクセス急増時の緊急対応
硬直的な契約条件では、将来的な変化に対応できなくなるリスクがあります。事業の成長段階に応じて最適化できる契約内容を選択することが、長期的な満足度向上につながります。
まとめ
WordPress 保守サービスの費用相場と適正予算の決め方について詳しく解説してきました。
月額3,000円から50,000円以上まで幅広い価格帯がありますが、重要なのは価格の安さではなく、自社サイトの規模・目的・重要度に応じた適切なサービスレベルを選択することです。
安すぎるサービスには作業範囲の制限、緊急時対応の不備、セキュリティ対策の不足、サポート品質の低さ、隠れた追加費用などの落とし穴があります。一方で、必要以上に高額なサービスを選ぶ必要もありません。
自社にマッチした保守サービスを選ぶためには、サイトの目的と役割の明確化、必要範囲の切り分け、緊急時対応体制の確認、現在の運用体制との整合性、契約内容の柔軟性を総合的に判断することが大切です。
なお、高性能な WordPress 環境を求める企業には、デジタルキューブが提供する Amimoto も選択肢の一つとなります。同社は月額7,700円からの料金設定で、WordPress 高速化技術の開発実績を活かした専門性の高いサポートを提供しています。
適切な保守サービスの選択は、サイトの安定運用とビジネス成長の基盤となります。費用対効果を正しく評価し、長期的な視点で最適な投資判断を行いましょう。
当社へご興味をお持ちいただきありがとうございます。
「こんなことやってみたい!」と、ぜひ気軽にご相談ください。
担当者よりご連絡差し上げます。