
WordPress のアップデートが必要なことは分かっているものの、「サイトが表示されなくなったらどうしよう」「プラグインが動かなくなるかもしれない」といった不安で作業に踏み切れずにいませんか?セキュリティ対策として必須のアップデートですが、企業サイトでトラブルが発生すれば業務に大きな影響を与えてしまいます。
実際、適切な準備なしにアップデートを実行して、サイトが真っ白になったり管理画面にログインできなくなったりするトラブルは珍しくありません。しかし、正しい手順と注意点を理解していれば、安全にアップデートを完了させることができます。また、このような不安を解消し、安全なアップデートを実現する専門サービスも存在します。
この記事では、WordPress アップデートを安全に実施するための注意点を、事前準備から実施中、完了後まで時系列で詳しく解説します。さらに、万が一トラブルが発生した場合の対処法や、継続的に安全な運用を行うためのコツもお伝えします。専門知識がなくても安心してアップデート作業に取り組めるよう、実践的なノウハウを体系的にご紹介します。
目次
WordPress アップデート前の注意点と準備
WordPress のアップデートを安全に実施するためには、事前の準備が何より重要です。適切な準備を行うことで、トラブルのリスクを大幅に軽減し、万が一問題が発生しても迅速に対処できます。
必ずバックアップを取る
アップデート作業で最も重要な準備がバックアップの取得です。どれだけ慎重に作業しても、予期せぬ不具合やエラーが発生する可能性はゼロではありません。バックアップがあれば、問題が発生してもすぐに元の状態に戻すことができます。
UpdraftPlus や BackWPup などのプラグインを使用し、データベースとファイル両方の完全バックアップを取得しましょう。単一の保存先だけでは障害時にバックアップも失う可能性があるため、複数の保存先にバックアップを作成することが重要です。
また、バックアップを取得するだけでなく、実際に復元テストも実施しておきましょう。いざという時にバックアップが使えないという事態を避けるため、事前にテスト環境で復元作業を練習しておくことをおすすめします。
プラグイン・テーマの互換性を確認する
WordPress のメジャーアップデートでは、古いプラグインやテーマが動作しなくなるケースがあります。アップデート後にサイトが正常に表示されない、機能が使えなくなるといった問題を防ぐため、事前に互換性を調査することが重要です。
各プラグインの公式ページや WordPress.org で、最新のバージョンに対応しているかを確認しましょう。「Tested up to」の項目で対応バージョンが分かります。長期間更新されていないプラグインは要注意です。
互換性に不安があるプラグインについては、代替プラグインを事前に調査しておくか、開発者に問い合わせて対応予定を確認することも検討してください。重要な機能を担うプラグインほど、慎重な確認が必要です。
ステージング環境でテストしてから本番反映
本番サイトで直接アップデートを行うのは非常にリスクが高い行為です。ステージング環境で事前にアップデートを実施し、問題がないことを確認してから本番環境に適用するのが安全なアプローチです。
多くのレンタルサーバーやホスティングサービスでステージング機能が提供されているため、積極的に活用しましょう。ステージング環境では、本番と同じ条件でアップデートをテストできるため、実際に起こりうる問題を事前に発見・対処できます。
テスト時は、サイト表示、管理画面アクセス、主要機能の動作確認を最低限行い、問題がないことを確認してから本番環境での作業に進みましょう。
なお、LabWorks のアップデート代行サービスでは、専用テスト環境とGit管理による安全な運用体制を標準提供しています。企業サイトでは、専用テスト環境とGit管理を組み合わせたプロフェッショナルな運用体制の構築も検討すべきです。
WordPress アップデート実施時の注意点
実際のアップデート作業では、手順やタイミングに注意を払うことで、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。以下のポイントを守って慎重に作業を進めましょう。
自動アップデートか手動アップデートかを選択する
WordPress には自動アップデート機能がありますが、メリット・デメリットを理解して適切に選択する必要があります。自動アップデートは手間が省ける反面、予期せぬタイミングでトラブルが発生するリスクもあります。
一般的には、セキュリティ修正が中心のマイナーアップデートは自動で、機能追加を含むメジャーアップデートは手動で実施するのが推奨されます。自動アップデートを有効にする場合も、テスト環境で動作確認を行ってから本番環境に適用することが重要です。
企業サイトでは、アップデートのタイミングをコントロールできる手動アップデートを基本とし、緊急のセキュリティパッチのみ自動適用する設定がおすすめです。
作業はアクセスが少ない時間帯に行う
アップデート作業中はサイトが一時的にアクセスできなくなったり、表示が不安定になる可能性があります。ユーザーへの影響を最小限に抑えるため、アクセス数が少ない時間帯に作業を実施することが重要です。
Google Analytics やサーバーのアクセスログでアクセス傾向を分析し、最もアクセス数が少ない時間帯を特定しましょう。一般的には深夜や早朝がアクセス数が少ない傾向にあります。
計画的なアップデートでは事前告知を行うことも検討してください。メンテナンス予定を事前にユーザーに知らせることで、混乱を避けることができます。
プラグインやテーマの更新は順序を意識する
WordPress サイトの更新は、WordPress 本体、プラグイン、テーマの順序で実施するのが基本です。順序を間違えると互換性の問題が発生したり、エラーの原因特定が困難になる可能性があります。
まず WordPress 本体を最新バージョンに更新し、動作確認を行います。続いてプラグインは一つずつ更新して、その都度動作確認を実施しましょう。テーマの更新は最後に実施し、更新前にカスタマイズ内容をバックアップしておくことが大切です。
この手順を守ることで、問題が発生した場合も原因を特定しやすくなり、迅速な対処が可能になります。
更新中に画面を閉じたり他の操作をしない
アップデート作業中にブラウザを閉じたり、他の WordPress 操作を行うと、更新処理が中断されて深刻な問題が発生する可能性があります。更新が途中で止まるとサイトが表示されなくなるリスクもあります。
更新中の画面には「更新しています…」などの表示が出るので、完了メッセージが表示されるまで画面を閉じずに待ちましょう。ネットワークが不安定な環境での作業は避け、一人の管理者のみがログインして作業することをおすすめします。
作業中は他の業務を並行して行わず、アップデート作業に集中することが重要です。
予期せぬ不具合に備えてすぐ復元できるようにする
アップデート作業では予期しない問題が発生する可能性があります。問題が発生した際にすぐに対処できるよう、復旧手順の準備と迅速な判断が重要です。特に本番サイトでは、長時間のダウンタイムは避けなければなりません。
バックアップからの復旧手順、FTP アクセス情報、データベース接続情報などを事前に整理し、関係者がすぐにアクセスできる場所に保管しておきましょう。作業責任者を明確にし、問題発生時の判断基準を事前に設定しておくことも大切です。
緊急時の連絡体制も整備し、必要に応じて技術サポートやホスティング会社への連絡手段も準備しておきましょう。
WordPress アップデート後の注意点
アップデート作業が完了したからといって安心してはいけません。サイトが正常に動作していることを確認し、ユーザー体験に影響がないかをチェックする必要があります。
サイト表示やデザイン崩れがないか確認
WordPress アップデートにより、CSS の適用が変わったり、HTML 構造が変更されることがあります。特にテーマのカスタマイズを行っているサイトでは、デザインの崩れが発生しやすい傾向があります。ユーザーの第一印象に直結するため、各ページの表示を詳細にチェックしましょう。
主要ページを複数のブラウザで表示確認し、PC・タブレット・スマートフォンの各デバイスでレスポンシブデザインをテストします。独自にカスタマイズしたヘッダー、フッター、サイドバーなどを重点的に確認してください。
フロントページだけでなく、記事ページ、固定ページ、アーカイブページなど、さまざまなページタイプで表示確認を行うことが重要です。
フォームや機能が正しく動作するかチェック
サイトの見た目に問題がなくても、フォーム送信やプラグイン機能が正常に動作しない場合があります。特に問い合わせフォーム、会員登録、ショッピングカートなど、ビジネスに直結する機能の動作確認は必須です。
Contact Form 7 や Gravity Forms などで作成したフォームから実際にテスト送信を行い、メール送信とデータ保存が正常に動作するか確認しましょう。会員制サイトや EC 機能がある場合は、それらの動作テストも実施してください。
決済機能がある場合は、テスト環境で決済フローの確認も行い、実際の売上に影響がないことを確認することが重要です。
アクセス速度や SEO への影響を見直す
WordPress アップデートにより、サイトの表示速度や SEO 関連の設定が変わる場合があります。特に新機能の追加により動作が重くなったり、SEO 関連のプラグインとの相性問題が発生する可能性もあります。
Google PageSpeed Insights や GTmetrix でサイトの表示速度を測定し、アップデート前と比較してみましょう。Yoast SEO や All in One SEO などの SEO プラグインが正常に動作しているか、Google Search Console でエラーがないかも確認してください。
表示速度の著しい低下や SEO 設定の問題が発見された場合は、原因を特定して改善策を講じる必要があります。
WordPress アップデートでトラブルが起きた時の対処法
アップデート後にトラブルが発生した場合、適切な対処法を知っていることで迅速な復旧が可能になります。パニックにならず、段階的に原因を特定して対処しましょう。
ログインできない・画面が真っ白になる場合
WordPress アップデート後によく発生するトラブルが、管理画面にログインできない、サイトが真っ白になって表示されない現象です。これらの問題は主に PHP エラー、メモリ不足、ファイル破損が原因で発生します。
サーバーのエラーログや WordPress の debug.log ファイルでエラーメッセージを確認しましょう。FTPでプラグインフォルダ名を変更して全プラグインを無効化し、デフォルトテーマに切り替えて原因を特定します。
PHP のメモリ制限が原因の場合は、wp-config.php ファイルでメモリ制限を増やす設定を追加することで解決する場合があります。
プラグイン競合でエラーが発生した場合
アップデート後にプラグイン同士の競合や、プラグインと WordPress 本体との互換性問題でエラーが発生することがあります。特に多機能なプラグインや、長期間更新されていないプラグインで問題が起きやすい傾向があります。
全プラグインを無効化してエラーが消えるか確認し、その後プラグインを一つずつ有効化してエラーが再発する組み合わせを見つけましょう。競合が解決できない場合は、代替プラグインを検索して置き換えを検討します。
プラグイン開発者への問い合わせやサポートフォーラムでの相談も有効な解決手段です。
バックアップから復元する流れ
他の対処法で解決できない場合、バックアップからの復旧が最終手段となります。復旧作業も手順を間違えるとさらに問題が悪化する可能性があるため、正しい手順で慎重に実施する必要があります。
復元前にバックアップファイルが破損していないか確認します。先にデータベースを復元し、その後ファイルを復元するのが基本的な順序です。復元作業完了後、サイト表示と主要機能の動作確認を行いましょう。
復元作業は不可逆的な操作になるため、作業前に現在の状態も念のためバックアップしておくことをおすすめします。
WordPress アップデートを安全に行うための運用のコツ
継続的に安全な WordPress アップデートを実施するためには、適切な運用体制とルールを設けることが重要です。以下のポイントを参考に、組織的な取り組みを行いましょう。
定期的なアップデートスケジュールを組む
WordPress アップデートを思いつきで実行するのではなく、定期的なスケジュールに組み込むことで、計画的で安全な運用が可能になります。アップデートの頻度が高すぎても低すぎてもリスクがあるため、サイトの特性に応じた適切なスケジュールを設定しましょう。
毎月第3土曜日、四半期末など、定期的なメンテナンス日を設定し、事前にカレンダーに予定を入れておきます。重要なセキュリティアップデートは定期スケジュールを待たず、リリース後3日以内に適用する緊急対応ルールを設けることも重要です。
スケジュールを関係者と共有し、作業担当者や責任者を明確にしておくことで、確実な実施体制を構築できます。
テスト環境を用意してから本番適用
本番サイトでの直接アップデートはリスクが高すぎます。テスト環境での事前検証を習慣化することで、問題の早期発見と対処が可能になります。多くのレンタルサーバーでステージング機能が提供されているため、積極的に活用すべきです。
本番サイトとテスト環境の内容が古くなると正確な検証ができないため、月1回程度の頻度でステージング環境を本番サイトの最新状態に同期しましょう。毎回同じ品質でテストできるよう、確認項目をチェックリスト化することも効果的です。
テスト環境での検証結果を記録し、問題があった場合の対処法も文書化しておくことで、ノウハウの蓄積と共有が可能になります。
不安なら専門業者に依頼する選択肢もある
WordPress の技術的な知識に不安がある場合や、重要なビジネスサイトを運営している場合は、専門業者への依頼も検討すべきです。コストはかかりますが、リスクを大幅に軽減できます。業者選定の際は、実績や対応範囲を十分に確認しましょう。
WordPress の専門知識、緊急時の対応体制、バックアップ・復旧の経験、過去の実績などを基準に業者を選定します。アップデート作業の範囲と責任範囲を明確にし、緊急時の連絡体制も事前に確認しておくことが大切です。
なお、業者に依頼する場合でも、基本的な知識は持っておくことで、適切なコミュニケーションと判断ができるようになります。
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これらの仕組みにより、企業サイトや大規模メディアでも安心してアップデートをまかせられる体制が整っています。
まとめ
WordPress アップデートは、セキュリティ維持とサイト機能向上のために欠かせない作業ですが、適切な準備と手順を守ることで安全に実施できます。事前のバックアップ取得、互換性確認、ステージング環境でのテストが成功の鍵となります。
実施時は作業順序を守り、アクセスの少ない時間帯に集中して作業を行うことで、トラブルのリスクを最小限に抑えられます。アップデート後の動作確認も忘れずに実施し、サイト表示、機能動作、パフォーマンスの各面で問題がないことを確認しましょう。
万が一トラブルが発生した場合も、段階的な原因特定と適切な対処法により迅速な復旧が可能です。最終手段としてバックアップからの復元手順も把握しておくことで、安心して作業に取り組めます。
定期的なアップデートスケジュールの設定、テスト環境の活用、必要に応じた専門業者への依頼など、継続的な運用体制を構築することで、長期的に安全な WordPress サイト運営を実現できます。専門知識に不安があっても、正しい手順と準備により確実にアップデートを成功させることができるでしょう。
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